40代で転職を考え始めると、「このままでいいのかな」「今さら転職なんて遅いかな」と不安が大きくなりやすいです。いきなり求人を探す前に、まずはご自身のキャリアをていねいに棚卸しすることから始めましょう。
結論:転職活動の前に「事実」「強み・価値観」「これから」の3つを1枚のシートに整理しておくと、求人選びも面接準備もスムーズに進みます。
なぜ40代の転職前に「キャリアの棚卸し」が必要なのか
- 自分の強みや経験を「言語化」できるようになる
- やりたいことと、できることのギャップが見える
- 求人票やエージェントからの提案を比較しやすくなる
- 面接で話すエピソードを準備しやすくなる
ポイント:
・「なんとなくの不安」を紙に出す ・感情と事実を分けて整理する ・完璧を目指さずまずは30分だけ書いてみる
キャリアの棚卸しシート|3つのパート構成
- パート1:職務経歴・実績など「事実の整理」
- パート2:得意・苦手・価値観など「自分の特徴」
- パート3:今後3〜5年でどうなりたいか「方向性」
1枚の紙、もしくはExcel・メモアプリなど、書きやすい形で構いません。まずはラフに埋めていき、後から清書するイメージで取り組みましょう。
パート1:事実の棚卸し|職務経歴と実績を書く
最初は「感情」ではなく、淡々と事実だけを書き出していきます。部署異動や産休・育休、時短勤務など、40代女性ならではのライフイベントも含めて記録しましょう。
- 在籍期間:____年__月〜____年__月
- 会社名・部署名:______________
- 役職・雇用形態(正社員・時短・パートなど):______
- 主な担当業務:______________
- 売上・件数・改善率など数字で示せる成果:______
- 周囲から感謝されたこと・任された役割:______
- 関わったプロジェクト・担当範囲:________
数字が出しにくい場合は「担当件数の増加」「業務時間の短縮」「新人育成」など、変化の事実を書いてみましょう。
コツ:
・1社ごとに1ページ使ってもOK
・「当たり前」と感じる仕事ほど、他社から見ると強みになりやすいです。
パート2:強み・価値観の棚卸し|自分らしさを言語化する
事実が出そろったら、「自分らしさ」に関わる部分を整理します。ここが、40代の転職で「どんな組織なら長く働けるか」を見極める軸になります。
- 得意なこと:
例)調整役・コツコツ型・新人育成など - 苦手なこと:
例)急な方針転換・数字管理・大人数の前で話す など - 大切にしたい価値観:
例)家族との時間・健康・学び・安定 など
書き込み欄:
得意:___________________
苦手:___________________
価値観:__________________
判断の目安:
・「どうしても譲れないこと」は3つまでに絞る ・「あれば嬉しい条件」と分けて考える
パート3:これからの方向性|3〜5年後のイメージを書く
次に、「将来どうなっていたいか」をざっくりで良いので書いてみましょう。いきなり10年先を考える必要はありません。まずは3〜5年くらい先の姿をイメージします。
方向性シート(記入テンプレート)
- 3〜5年後、どんな働き方をしていたいですか?
→ _______________________ - 収入面でどのくらいを目指したいですか?
→ _______________________ - 身につけておきたいスキルや経験は何ですか?
→ _______________________ - 家族・健康・暮らしとのバランスはどうありたいですか?
→ _______________________
「具体的な職種名」までは決まっていなくても大丈夫です。「どんな状態なら満足か」を言葉にするところから始めましょう。
棚卸しシートを転職活動でどう活かすか
作成した棚卸しシートは、書いて終わりではなく「転職活動の道具」として活用していきます。ここでは、具体的な使い方を4つご紹介します。
- 求人チェックの軸として使う
→ パート2・3の「価値観・条件」と求人票を見比べる - 職務経歴書作成の下書きにする
→ パート1の「事実」「成果」から、アピールできる実績を抽出する - エージェント面談での共有資料にする
→ シートを見せながら希望条件を説明すると、ミスマッチ提案が減りやすくなります - 面接前の振り返りシートとして使う
→ よく聞かれる質問に対して、どの経験を話すか整理できる
ワンポイント:
エージェントに登録する前に棚卸しシートを一度書いておくと、「紹介された求人がしっくりこない」といったモヤモヤを減らしやすくなります。
よくあるつまずきと注意点
キャリアの棚卸しは「正解を書くテスト」ではありません。完璧に埋めようとして手が止まってしまう方も多いので、注意ポイントを押さえておきましょう。
- いきなり清書しようとして、書き出しの段階で止まってしまう
- 過去の失敗やブランクに目が行きすぎて、手が進まない
- 「こう書いたら評価されるかな」と他人目線になりすぎる
対策:
・まずは下書き用にざっと書く(消しゴム禁止で10〜15分)
・事実と感情を分けて書く欄を作る
・信頼できる人やキャリア相談サービスに見てもらう
まとめ|今日からできる30分のキャリア棚卸し
40代の転職では、「何がしたいかわからないから動けない」と感じる方が少なくありません。そんな時こそ、キャリアの棚卸しシートで自分の歩みを見える化することが第一歩になります。
3つのパート(事実/強み・価値観/方向性)を書けるよう、ざっくりと枠を分けましょう。
完璧さよりも「書き出すこと」を優先します。埋まらない欄があってもOKです。
書き足したくなったことや、新しく気づいた強みを追記しましょう。少しずつ精度が上がっていきます。
「転職するかどうかまだ決めきれない」という段階でも、棚卸しシートは必ず役に立ちます。まずは今日30分だけ、ご自身のキャリアと向き合う時間をつくってみましょう。
FAQ|キャリアの棚卸しシートについてよくある質問
- Q. どのくらい書けたら転職活動を始めてよいですか?
-
すべての欄を完璧に埋める必要はありません。特に「事実の整理(パート1)」と「譲れない条件」が書けていれば、情報収集やエージェント相談を始めて問題ありません。
- Q. 子育てや介護でブランクが長いのですが、どう書けばよいですか?
-
ブランク期間も正直に記載して大丈夫です。そのうえで、家計管理・学校や施設との調整・地域活動など、仕事に活かせる経験がないか振り返ってみましょう。
- Q. 自分だけでは整理しきれないと感じた場合は?
-
一人で抱え込むより、第三者の視点を借りるのも有効です。信頼できる友人や同僚に見てもらうほか、キャリア相談サービスを活用するのも一つの方法です。


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